対チリ戦は観ての通り悲惨な内容だった。大久保の決定的な場面でのミスが無かったら勝てたゲームだったが、あの内容では勝たなくて本当に良かった。勝てば自信につながるという見方もあるし、時と場合によっては許される。
しかし、このチリ戦の内容では「結果オーライ」などという事になったら大変な事になる恐れがあったので、勝たなかったのを不幸中の幸いと考えるべきだ。
あまり期待しない方が良いと書いた通り、攻撃面では何もなかったと指摘したい。8分のパスの連続からSHまで行った場面を取り上げて「成果」とか「手応え」などと評価する見方があるが、あのような攻めは、今回のチームが初めて見せたわけではなく、ゲームの流れの中から生まれた通常のパターンの一つにすぎない。立ち上がり8分で、まだチリがゲームに十分に対応出来ていなかっただけで、それ以後の時間は全く見られ無かったのを考慮すれば、評価に値せずである。
岡田が掲げた「接近・展開・連続」という戦術が、どうサッカーに適応出来るのか不明だし、このゲームからは意図が十分に見られなかったというのが正直な感想だ。攻撃面では何をしたいのかサッパリ判らない。
たとえば中盤の構成は、ワンボランチに3人が攻撃的な起用という触れ込みだったが「山岸・遠藤・中村」の3人が効果的だったのは守備面だけだった。それもボランチが4人居て局地戦では相手とつぶしあいをしたような展開に限られており、チリの速く大きなパス回しに日本の前線と中盤からのプレスは完全に振り回されてしまい空回りしていたのが実情である。
選手個々のコンディションがバラバラで、動きだしとパスを出すタイミングが合わなかったのと、狭い地域で早くパスを回すという指示に拘束されていたようにも見えた。これが攻撃が機能しなかった要因だと思われる。
後半、チャンスを作り優位に立ったが、新しい選手を次々と投入したのと、「羽生」を軸にオシム流の動きを行ったのが大きかった。この日の羽生の動きはなかなか良かったのだが、あれはオシムの時に見せたのと同じ動きだった。つまり前半は岡田の目指すスタイルが全く消化されていないの露呈してしまい、後半はオシムスタイルに慣れた選手の動きで勝負に持ち込めるゲームになったというわけだ。
本来、まだチリのようなレベルのチームを相手に本格的なゲームを行う段階にまで戦術も調整も十分に達していないと判断せざるを得ない。しかしW杯予選のタイ戦まで時間が無いために、やむを得ずカードを組んだために、このような酷い内容のゲームになってしまったと解釈したい。
次のボスニア戦の内容次第では、タイ戦は岡田色を出す事を目指すよりも、選手が慣れているオシムスタイルに可能な限り戻してゲームに臨むという方法もあって良いのではなかろうか。
それにしてもお粗末なゲームだった。気温よりも内容の寒さに凍えてしまった。

